今年最後のもやしそば

今年はほとんど食べていないと思い立って駅前の名店へ行ってきた。
久しぶりのもやしそばは、やはり旨かった。

それにしてもご婦人率が高い日だった。おそらくは暮れの挨拶や買出しの帰りなのだろう。
自分が席が空くのを待っているときやって来た母子連れは、娘さんは乗り気じゃないが、お母さんはどうしても食べたい様子。店の中をのぞき込んで「昔ながらの東京ラーメンって感じだよ、美味しそう」と、店内に熱視線。
よほど確証が得たいのか「ここあっさり系ですか?」と、自分にもたずねてきた。
あっさり系と簡単に表現していかどうか少し迷ったが、頷くと「ホラッ、あっさり系だって! 最近あんまりないのよ、あっさり系。とんこつばっかりで食べらんないっ」とか、娘さんに猛プレゼン。
しかし、娘さんは長い髪が汚れそうで気になるからごはん物がいいと渋る。
そんなところへ、お店のおかみさんが注文を取りに。
するとそのお母さん、きっぱりと「ラーメンふたつ」と言う。
娘さんが渋っていたのに大丈夫かと思ったら、案の定、店に入ってからも納得いかない様子。
しかし、お母さんはしきりに「やっぱり美味しい」、「入ってよかった」、「もやしそば(娘の要望を無視した素早い注文の後、メニューを再検討して注文し直した)味見しない? ラーメンと味が違うんだよ」と、しきりに娘さんに気を遣う。
店に対してどうかと思う娘さんの態度も、お母さんの絶賛ぶりで帳消しかなと思った。少し騒々しかったけれど。